硝酸銀棒を院内製剤したお話
部屋の大掃除をしていたら、物入れの奥の片隅に懐かしいモノを発見しました。
これは、もう10年以上前のお話ですが・・・。
かつて?硝酸銀棒というものがあったのですが、諸事象により製造中止になり、
全く入手できなくなりました。
主に外科領域で不良肉芽を物理的化学的に処置し傷の治癒を促進したり、
(過去には?)赤ちゃんの『へその緒』を焼くのにも使用していたようです。
当時の勤務先病院で医師らにその複製を依頼され、試行錯誤の結果、遂に医師から
”ほぼ同様の使用感”との言葉をいただける院内製剤を作ることに成功したのです!
薬剤師冥利につきる感動でした。
アルミホイルで型を1本づつ手作り
硝酸銀と硝酸カリウムを乳鉢乳棒で研和し型内に入れる
(硝酸銀の融点約212℃ 硝酸カリウムの融点約333℃)
350℃くらいの電気陶芸窯に入れて融解させる
冷めたら取り出せば完成!!
この方法を思いつくまでには試行錯誤と軽い火傷の連続でした。
しかし、患者さんの治癒が1日でも早まるなら! との一心で製作しました。
今となっては懐かしい思い出です。
(材料が腐食性であったり、燃性だったりと危険なので、ご注意下さい。)