お薬手帳は1990年代から利用されはじめ、2000年には記入希望される患者さんから
保険点数を算定できるようになり、その後随時改定を経て今日に至ります。
昨今ではネット上で「お薬手帳を断れば、薬局の支払いが20円安くなる」
などと話題になっていますが、、、。
患者さん個々の状況(処方状況や情報管理能力など)によっては、その必要度にバラつきはあるとは思いますが、
私個人としては、あえて紙(手帳)で持つことにこそ意義があるように思います。
電源なしで、即時閲覧できる価値は計り知れないと思います。
書籍や新聞が駆逐されない理由と近いような気もします。
単に処方履歴の閲覧と保存のみなら、デジタル全盛の時代ですからネットショップの購入履歴のように管理できます。
手帳やシールを発行するにはそれなりのコストがかかり、このコストが理解されるかどうかは、時代の流れや風潮などの力は大きいので、医療従事者の努力だけではどうにもならない部分かもしれません。
話はズレますが、私は趣味で自転車に乗ります。
乗るのも好きですが、メンテナンスも好きです。
ロードバイク~軽快車(シティサイクル)まで整備しますが、軽快車の整備は比較的に難易度が高いのです。それは、ショップ以外でのメンテナンスを想定していない構造の為なのでしょうか?
最近知ったのですが、自転車店のなかにはこの軽快車の後輪のチューブやタイヤを交換する際に、時間短縮(15分→5分)の為に本来なら車輪を外して行うところを、車輪はそのままでフレームを無理にギューっと拡げる専用工具を使用しチューブやタイヤを交換する事もあるそうなのです。
これをしたら、フレームには必ず歪みが残って(運よく無症状の場合もあるそうですが)
チェーンが外れやすくなったり、スタンドがズレたり、まっすぐ走らなくなる事もあるそうです。
もしかこの事を知っていたら、お客さんはどうするでしょう?
今や1万円を切る自転車も流通している以上、工賃が購入代金に迫ってきたら新車購入する方もいるかもしれません。
それぞれの人にとっての必要性や思い入れの強さで、かけるコストは変わってきます。
その結果の集積がサービスや製品の変化につながっていくと思います。
“20円得?”という言葉で一躍世の注目を浴びているお薬手帳ですが、
損得ではその本質を語れないと思います。